ファビピラビル(商品名:アビガン)の作用機序
インフルエンザはウイルスによって発症する感染症です。その原因ウイルスはインフルエンザウイルスと呼ばれています。インフルエンザを治療するために用いられる薬としてファビピラビル(商品名:アビガン)があります。ファビピラビルはRNAポリメラーゼ阻害薬と呼ばれる種類の薬になります。なお、ファビピラビルはエボラ出血熱の治療薬として用いられていますが、昨今の新型コロナウイルスの薬として現在特別承認を検討中です。
ファビピラビル(商品名:アビガン)の特徴
抗インフルエンザウイルス薬には他にも存在し、オセルタミビル(商品名:タミフル)などが有名です。しかし、これらの薬は「インフルエンザウイルスを細胞内に閉じ込め、外に放出されないようにする」という作用機序のために発症から48時間以内(2日以内)に投与しなければ効果がありませんでした。ファビピラビル(商品名:アビガン)はインフルエンザウイルスの増殖自体を抑制する作用を有しています。そのため、薬の投与開始が遅れたとしても効果を示すことが確認されています。オセルタミビル(商品名:タミフル)などの薬が効かないインフルエンザウイルス(ノイラミニダーゼ阻害薬耐性ウイルス)や鳥インフルエンザウイルスに対しても、ファビピラビル(商品名:アビガン)は有効であることが分かっています。従来の抗インフルエンザ薬とは異なる作用機序の画期的な薬であるため、新型インフルエンザによるパンデミック時だけに使用するように制限がかけられています。
過去、1918年のスペインかぜなど、新型インフルエンザによって多くの死者を出した経験から、もしもの時にファビピラビル(商品名:アビガン)を取っておこうという考えたのです。なお、ファビピラビル(商品名:アビガン)は動物などを用いた非臨床試験で催奇形性(胎児に奇形をもたらす作用)が確認されており、ヒトにおいても同様に起こると考えられています。そのため、妊婦への投与は避ける必要があります。遺伝子の合成過程に作用することによってインフルエンザウイルスの増殖を抑制し、病気を治療する薬がファビピラビル(商品名:アビガン)です。ファビピラビル(商品名:アビガン)はエボラ出血熱の治療薬としても注目されています。これは、エボラウイルスとインフルエンザウイルスが共に一本鎖のRNAをもっており、その性質も似ているからです。実際、ファビピラビルを投与したところ、エボラ出血熱を改善させた事例が知られています。新型インフルエンザによるパンデミックやエボラ出血熱が蔓延したときの治療など、ファビピラビル(商品名:アビガン)は緊急時に人類を救う薬になる可能性があります。そのため新型コロナウイルスの薬としての期待がされています。
ウイルスはDNAまたはRNAを遺伝情報として保有し、その周りを膜を覆っただけの構造をしています。インフルエンザウイルスはRNAをもっているため、RNAウイルスに分類されます。ウイルスが増殖を行うためには、宿主細胞へ吸着・侵入しなければいけません。細胞内へ侵入した後、インフルエンザウイルスはRNAなどの遺伝情報を細胞内へと放出します。この過程を専門用語で脱殻(だっかく)と呼びます。細胞内へ放出されたRNAは、細胞内の核と呼ばれる部位へと送り込まれます。核はタンパク質や遺伝情報を複製する器官であるため、インフルエンザウイルスのRNAがここに送り込まれることで、その細胞はインフルエンザウイルスのタンパク質や遺伝子(RNA)を合成するようにプログラムされます。タンパク質やRNAが作られると、新しくインフルエンザウイルスが作られ、細胞の外へ出ていくことで他の細胞へと感染していきます。これが、インフルエンザウイルスの簡単な増殖工程です。この中で、「核の中に入ったRNAを複製するとき」に重要となる酵素にRNAポリメラーゼと呼ばれるものがあります。RNAポリメラーゼが阻害されれば、インフルエンザウイルスの遺伝子(RNA)を新しく作れないため、インフルエンザウイルスの増殖を抑制できます
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