薬には抗生物質のように病気の原因に直接作用して病原菌を殺菌する原因療法として働く薬と、病気によって起こる様々な症状を緩和するための薬である対症療法とがあります。対症療法の薬が数は圧倒的に多く存在します。生活習慣病の薬は、ほとんどが対症療法の薬です。基本として、経口薬はコップ半分から1杯くらいの水で服用します。医療関係者によるコンプライアンスがいいとは、薬など正しい方法で服用するような場合に使います。これは、コンプライアンスが従順という意味からきています。薬には一般名と商品名があります。、臨床の現場では商品名が使用されます。商品名が違っていても同じ一般名、つまり同じ成分の薬でる場合があります。また同じ薬でも商品によって容量が違う場合があるので、注意が必要です。

薬の服用と時間
経口薬の飲み方として注意が必要なのは、食前、食後という薬を服用する時間による差です。

１．食前
食事の30分前の服用を意味します。

２．食直前
食事を始めるすぐ前の時間を5分前を意味します。

３．食直後
食事後、5分後までに服用することを意味します。

４．食後
食事後30分までに薬を服用すれば問題ありません。

５．食間
食事後2時間までの服用を意味します。

６．寝る前
寝る前のの服用のことですが、夜9時頃を意味します。

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高血圧症治療薬
血圧を下げる方法は2通りあります。一つは血流量を減らすこと、もう一つは、血管を広げることです。

１．利尿剤
サイアザイト系、ループ系、Ｋ⁺保持性利尿剤があります。薬が作用する場所は違いますが、いずれも食塩の再吸収を抑制して利尿をもたらします。

２．血管拡張剤
直接細動脈血管平滑筋に作用して血管を拡張します。

３．交換神経抑制剤
β遮断剤が有名です。心拍出量の低下、抹消血管抵抗の減少やレニン分泌抑制をもたらします。

４．ＡＣＥ阻害剤
アンジオテンシンⅠ変換酵素阻害剤のことで、体内で作られている血圧を上げるアンジオテンシンⅡの生成を抑制します。

５．カルシウム拮抗剤
心筋細胞内へのカルシウムイオンの流入を抑制し、血管を拡張させることで血圧を下げます。

脂質異常症の薬
脂質異常症は自覚症状もなく、薬を服用しても改善がみられるわけではありません。脂質異常症だけの疾患をもった高齢者は、ほとんどいません。多くの高齢者は、糖尿病や高血圧といった生活習慣病を合併していることが多いです。ＬＤＬコレステロール、トリグリセリドを下げる薬ですが、糖尿病と同様に、食事療法を実行することが重要です。

１．ＨＭＧ－ＣｏＡ還元酵素阻害薬
夕食後から就寝前に服用するほうが，ＬＤＬコレステロール低下作用が大きいので、夕食後服用します。副作用として横紋筋変性症や肝機能障害があります。

２．プロプコール
胃障害やＨＤＬコレステロール低下の副作用

３．陰イオン交換樹脂
コレステロールの原料となる胆汁酸と結合して糞便中に排泄し、コレステロールから胆汁への変化が促進、コレステロールを低下させます。

４．クロフィブラート系薬物
ＬＤＬコレステロールよりもトリグリセリドの低下作用。急性筋肉痛、胃腸障害の副作用

５．ニコチン酸製剤
副作用として小腸閉鎖症があります。

６．イコサペント酸エチル
トリグリセリドの低下作用

我が国は、外国に比べて医療保険制度が充実しています。全ての国民が平等に医療を受けることができる制度は諸外国にはありません。ただし、医療保険には適用範囲があります。どのような場合でも医療保険の中で受けられるという訳ではなく、薬であれば使用できる病気が決まっています。
 
薬は病気の治療のために使用されます。ただし、中には予防のために使用されることもあります。予防目的で使用される医薬品としては、ワクチンがその例です。そして、インフルエンザの治療薬も予防目的で使用されることがあります。抗インフルエンザ薬としてタミフルが有名ですが、このタミフルは予防としての使い方でも承認を取得しています。同じように他の種類の抗インフルエンザ薬でも「インフルエンザの予防」として国から承認を得ています。ただし、お金の面で言えば、基本的に「予防目的」の薬の使用は保険適応となりません。つまり、全額負担です。
 
インフルエンザワクチンは予防目的なので全額負担です。他のワクチンの場合、「特別に法律で助成が決定されている商品」のみが全額負担を免れているだけです。同じように、例えばインフルエンザを発症した場合に使用される治療としてのタミフルは保険適応（三割負担）ですが、予防目的で使用するタミフルは全額負担です。必ずしも、「政府から承認を取得した＝保険適応となる」とは限らないので注意が必要となります。